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先日、エチオピアの先生方への講義を無事に終えました。内容は、我が国の義務教育学校における指導と評価の現状・課題についての話となりました。今回の講義の原稿を作っている際、塾に来始めた中学生(1年生と3年生)の話を聞いていて、あらためて我が国の小・中学校の授業づくりに関する課題を実感しました。

実は、我が国の学習指導要領を見る限り、とても進んだ理念に基づいて作られています。先日参加したイエナプランの勉強会でも、イエナの理念に劣らないくらい学習指導要領が追求していることはすばらしい、という意見が出ていました。確かに私もそう思います。平成元年度に出された学習指導要領のあたりから、それまでの知識優先の学力観から大きくハンドルを切って、学習意欲や思考力・判断力・表現力といった、今世界中で求められている重要な資質・能力(キーコンピテンシーといいます)を視野に入れて学力観を組み立てるようになったのです。

ところが、ところが、学校現場はほとんど変わらずに来ています。結局高校入試が変わらないから、という大きな壁があるからなのですが、小学校にしても最終的にはテストの点数をつけること(テストで高得点をとること)が目的の授業になってしまっていることが多いのです。だから、子供たちは「覚えること」、教師は「教え込むこと」にばかり意識がいってしまっているのが現状です。

エチオピアの先生方は、私の講義の前日、茨城県牛久市の中学校の視察に行って来たのだそうです。それを聞いて、ほっとしました。なぜかというと、牛久市は市を挙げて「協働的な学び」に取り組み、すべての学校が「学び合い」の授業をしています。その様子を見てきたのだそうです-なぜ、牛久市へ行ったかというと、JICAの関係者の中に協働的な学びに関して研究されている方がいて、その方が推薦されたとのことでした-。こんな言い方は失礼かもしれませんが、群馬県の中学校の視察ではなくてよかった、と思ったのは確かです。